流域健康リスク研究分野

流域疫学、遺伝子工学的環境センサーを用いた健康リスク解析

Jun Arita

有田 順 教授

女性ホルモンは正常な生殖器や乳腺の発達に関与するだけではなく、子宮内膜癌や乳癌の発症も促進する、両刃の剣です。 また、女性の生殖に重要なだけではなく、血管、骨、脳に関する女性の健康維持にも必須のものあるため、女性ホルモンが分泌されなくなった閉経期の女性では、動脈硬化、骨粗鬆症、認知症といった問題が生じます。 我々はこの女性ホルモンの作用のメカニズムの解明を目指すとともに、女性ホルモンと環境ホルモンの関係にも興味を持っています。

Zentaro Yamagata

山縣 然太朗 教授

人の健康は自と他、およびその関係で包括的に考える必要があります。自は個人のレベルで遺伝要因と生活習慣や健康意識です。他は環境のレベルで、物理的な環境と地域の健康施策や社会資本を含みます。 疫学、公衆衛生学は人の健康を包括的に研究する分野です。 疾病の因果関係を明らかにする伝統的な疫学研究に加えて、ゲノム情報を用いて健康予知を目指すゲノム疫学、健康に関する制度や社会的ネットワーク、社会的団結力などを考慮した社会疫学などの新しい手法を用いて流域の健康を議論します。

Masanori Kitamura

北村 正敬 教授

ダイオキシン類をはじめとする環境中有害化学物質は、極めて低濃度で生体に悪影響を与える。 こうした環境中の化学物質のリスクを高感度かつ包括的にモニタリングする目的で、私たちは遺伝子工学技術と細胞工学技術とを融合し、新しいバイオアッセイシステムDRESSA法(DRESSA細胞、DRESSAマウス)を開発した。 この遺伝子細胞工学的手法をベースに、1)有害化学物質の生体毒性に係る分子機序の解明、2)有害化学物質の毒性を緩和する物質の探索、 さらには、3)遺伝子細胞工学的手法による水質汚染の監視と、それに携わりうるスペシャリストの育成に取り組む。

Atsuhito Nakao

中尾 篤人 教授

私達の研究のゴールは、花粉症やぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー疾患を根本的に予防/治療するための免疫学的手段を見つけることです。 この目的のため、特に、形質転換増殖因子ベータ(TGF-β)という免疫反応を調節するタンパク質に注目し研究しています。 将来、この分子の活性を制御することによって、アレルギー疾患に罹患する人の数を劇的に減らし、難治性のアレルギー疾患を治して患者さんの生活の質を向上させたいと思っています。

Hiroshi Yokomichi

横道 洋司 助教

栄養学的リスク者割合の新たな推定法の開発
個人が習慣的に1日あたりに摂取している栄養の量を習慣的摂取量といいます。 栄養疫学においては、ある栄養素の習慣的摂取量がこの基準値に不足・超過している個人の、集団における割合(リスク者割合といいます)を精度良く見積もることは栄養施策上の必要性からも課題のひとつとなっています。 このリスク者割合を推定するためのこれまでの手法を踏まえ、統計学的な手法を用いることでより精度良くこの割合を見積もる推定法を提案しました。 更に改良し、栄養学国際誌に投稿したいと考えています。

Kyoko Oh-oka

大岡 杏子 助教

母乳は乳児の免疫系の発達に影響を与え、乳幼児期の感染症やアレルギーの発症予防に重要な役割を果たしています。 私は、本GCOEプロジェクトにおいて、アジア河川流域に居住する母親由来の母乳中免疫成分の量や活性を検討し、我が国の母親における母乳成分のデータと比較することによって、アジア地域河川流域住民の母親や乳児の健康状態について有益な医学的情報を得たいと考えています。

Yoko Aihara

相原 洋子
GCOE研究員

健康であることは、基本的な人権であり、すべての人が健康になるためには、地域住民の主体的参加のもと、地域資源を有効活用し、保健医療に限らず様々な分野と協調・統合した、包括的なアプローチが原則となります。 本GCOEプロジェクトでは、アジア河川流域における健康ニーズと環境要因、社会要因との関連性を解析するとともに、工学、経済学などの研究者、住民と共同し、地域における健康問題の解決手法を考えていきます。

Hironori Kato

加藤 裕紀
GCOE研究員

多くの水質汚染物質は生体に対しストレス応答を惹起し、様々な障害を引き起こします。 我々は、多様な健康障害に関与する小胞体ストレスに着目し、水質汚染関連有害化学物質、特に重金属による生体へのストレス誘導と組織障害を緩和する物質を探索同定し、水質汚染地域に於いて有害物質に曝露され続ける流域住民の健康を維持するための新たな方策の確立を目指したいと考えています。

Naoki Kondo

近藤 尚己 准教授

経済は健康を作る一方で、健康は発展の礎になります。世界には一日1ドル未満で生活している人が約10億人おり、そのほとんどがアジア・アフリカ地域に住んでいます。 限られた資源を有効に活用し、このような最もニーズの高い人々の健康状態を改善するために最もよい方法は何か。 物理環境(水資源・自然条件・住環境)、社会環境(経済状況・教育制度・ソーシャルキャピタル)、そして個人の選択と行動に着目し、 衛生工学・経済学・社会学・疫学・公衆衛生学といった諸分野の研究者らによる共同の疫学研究により、この疑問に答えることを目指します。
2012/3 東京大学に異動

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